騒音は健康被害を引き起こします

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そもそも大音量の音は、「うるさい」「うるさくない」といった個人の感性の問題に留まらず、聴力障害その他の身体的な被害を生じ得るということについて触れておきます。

米CDC(疾病対策予防センター)が、何デシベルの音をどれくらいの時間聞くと騒音性難聴のリスクが発生するかというガイドラインを作成しています(CDC - Noise and Hearing Loss Prevention)。3デシベルごとに安全な曝露(接触)時間が半減し、例えば、110デシベルのチェーンソーの音を耳の保護なしに聞くと、わずか2分で危険水準に達するのだということが強調されています。

デシベル 時間
85dB 8時間
88dB 4時間
91dB 2時間
94dB 1時間
97dB 30分
100dB 15分
103dB 7.5分
106dB 4分
109dB 2分
112dB 1分

デシベル値の具体例については、騒音の目安(全国環境研協議会 騒音小委員会)騒音の大きさの目安などを参照していただきたいのですが、「パチンコ店内」や「怒鳴り声」並みの91デシベルで2時間というのは、大音量の宣伝スピーカーやBGM、駅アナウンス、呼び込みの声等に絶えず曝される日本の都市部で生活している人にとっては、かなり際どい数字ではないでしょうか。

WHO(世界保健機関)も騒音が過小評価されているリスク要因であるとアピールしています。

WHO/Europe - Noise(世界保健機関ヨーロッパ)

"Noise is an underestimated threat that can cause a number of short- and long-term health problems, such as for example sleep disturbance, cardiovascular effects, poorer work and school performance, hearing impairment, etc."
「騒音は、睡眠障害、心臓血管系への影響、労働・学習のパフォーマンス低下、聴覚障害その他の多数の短期的長期的な健康問題を引き起こす過小評価されている脅威である」

米国では、ヘッドホンの音楽や、生活環境の騒音の増加によって、若い世代の難聴者が親世代や祖父母世代の2.5倍に増えており、2050年には5000万人が難聴になるという推計もあるようです(Health effects from noise - Wikipedia)。

20世紀始めにスピーカーが発明されてから、街中で流れる音は屋内・屋外を問わずどんどん増え続けていますが、一方で、人間が一生で聴くことのできる音の量は一定だという説もあります。サウンドスケープといった言葉もありますが、医学サイドからの警告を踏まえると、まず不必要な音や過剰な音を減らすこと、すなわち減音の必要性を感じるのですが、いかがでしょう。

近年はバリアフリー化で音声ガイドが設置されることも多いですが、そのためのキャパシティを確保する上でも減音は必要なのではないかと考えます。暗騒音が小さいほどバリアフリー音声も聞き取りやすくなります。

「音バリアフリーの現状と課題」(日本音響学会)

障害の重い視覚障害者は街をもっと静かにして環境音も含めたより多くの音が聞こえ易い環境、つまり情報のSN比が大きい環境を作って欲しいと望んでいること、視覚障害者にとって良い音環境が健常者にとっても良い音環境であることが重要だと捉える視覚障害者が多いことを示した。

指向性スピーカーや低反響板で音が混じらないようにしたり、コンピュータによる音響シミュレーションを行って低音量で情報を伝達しようという工夫も始まっているようですが、小手先の対策という感が否めません。

スピーカーで大音量の音楽や音声を流すと、人々が負けじと大きな声で会話するため、騒音レベルはスピーカーの音量以上に上がります。

まず音を節約し、厳選してみませんか? 放送設備や宣伝用のラジカセ、液晶テレビを管理する立場にあるなら、ボリュームを下げてみませんか? 安易に新しいスピーカーを設置するのをやめませんか? その機械が発する音声、本当に必要ですか?

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